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Q41. |
遺伝子組換えシロイヌナズナの交雑率が非組換え体に比べて有意に高いという報告があったが、遺伝子組換え植物の交雑性についてさらに検討を行う必要があるのではないか |
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J. Bergelsonらは、シロイヌナズナの人為的な突然変異系統(突然変異源物質によるもの)と遺伝子組換え体の他家受粉の割合を比較し、遺伝子組換え体の方が、有意に高いことを示している。一方で、遺伝子組換え体の2系統で他家受粉の割合を比較したところ、その割合にかなりばらつきがあった。また、耐性個体の99%以上は他家受粉によるものであった。したがって、従来、シロイヌナズナは自家受粉を行うため、遺伝子組換え体が異系交配する可能性は無視できると考えられていたが、今回の結果は、遺伝子組換えにより交雑性が増す可能性を指摘している1)。 |
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上記の論文において、突然変異種と遺伝子組換え体で他家受粉の割合に差が生じたことの原因は明らかにされていない。よって、上記の報告については追試、因果関係の検討が必要であると考えられる。
この報告の内容を否定することができないのは、遺伝子レベルのメカニズムが完全に明らかになっていないため、遺伝子組換え体に一般的に起こる現象なのかどうかの判断材料がないことにある。今後、遺伝子レベルのメカニズムの解明を科学的に進めるとともに、このような現象が起こり得ることを考慮して、遺伝子組換え体の作製、栽培、安全性評価を行っていく必要がある。 |
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1) J. Bergelsonら、Nature, Vol.395, 25, 1998 |
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