A. Pusztaiの報告は1999年2月に発表されたが、科学性に問題があるとして、専門誌に掲載されなかった。しかし、1999年10月、医学専門誌の「The
Lancet」は、A. Pusztaiの昆虫、線虫類に抵抗性を示すレクチン遺伝子組換えジャガイモを用いて行った実験に関する報告を、実験の設計や分析について不十分な点が多いという前提で掲載している4)、5)、6)。
この実験では、遺伝子組換えジャガイモと非組換えジャガイモ、及び非組換えジャガイモに導入した遺伝子が産生するマツユキソウのレクチンを添加した餌を、それぞれ生、及びゆでたジャガイモを材料にして調製し、この6種類の餌をラットに10日間与えた時の影響を比較している。ここでは、遺伝子組換えジャガイモの餌によりラットの一部の臓器や免疫系への影響が指摘されているが、この影響がタンパク質不足の餌によるストレスや、ジャガイモの品種や餌の低消化性によるとも考えられ、このような結論は出せないとのコメントも掲載されている7)。
1) A. Pusztai、「SOAEFD flexible Fund Project RO818 Report
of Project Coordinator on data produced at the Rowett Research Institute(RRI)」
2) 日経産業新聞、1999年7月6日
3) 英国ACNFP、「ACNFP statement of the studies conducted at the Rowett Research Institute
of potatoes genetically modified to produce the snowdrop (Galanthus nivalis) lectin
」
4) S. W B Ewenら、THE LANCET, Vol.354, 1353-1354, 1999
5) 化学工業日報、1999年10月19日
6) R. Horton、The Lancet, Vol.354, 1314-1315, 1999
7) H. A Kuiperら、The Lancet, Vol.354, 1315-1316, 1999
8) 厚生省、「遺伝子組換え食品Q&A」
更新日: 2006年10月25日
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