遺伝子組換え技術は、バクテリア等が自然界で遺伝子を組み換える現象を人間が学び、応用したものである。 DNAのコドンがすべての生物に共通である事実は、36億年前の原始生命体が地球上のすべての生物の共通の祖先であることを示している。 生物の進化では、長い年月をかけて、遺伝子を“自然”に変化させている。 従来の品種改良でも遺伝子操作を行った場合と同様の現象が行われており、遺伝子操作に固有の問題ではない。 「遺伝子操作は自然の掟に反する」という主張は、科学者らが指摘するように確かに論理が一貫しておらず、あいまいな概念に基づいた感覚的なものである場合が多い。しかしながら、このような感覚的な意見が非常に重視される場合もあり、不注意に扱ってはいけない。 また一方で、一般的に倫理的な問題は、時代背景、文化や宗教の違いなどの影響を大きく受け、固定的なものではないという特徴がある。つまり、倫理に関する絶対的な概念は存在せず、そのことが、倫理的な問題を複雑にしているという事実を認識しておく必要がある。 以上のような点を踏まえた上で、倫理的な問題についてはケース・バイ・ケースで慎重に判断していくことが重要であると考えられる(→Q37、Q38)。
更新日: 2006年10月25日