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生物の性質は、
遺伝子によって決まります。
生物の体は、細胞の集まりです。細胞内にあるDNA (デオキシリボ核酸)という物質には、生物の体の形や働きを決める情報が集まっています。この情報が親から子、そして孫へと代々に伝えられるため『遺伝情報』と呼ばれ、この情報を伝える1つの単位が『遺伝子』なのです。遺伝子は、どのようなタンパク質をどれくらいの量だけつくるかを指定します。このタンパク質は、生物の基本的な性質(目や皮膚の色、背の高さ、酒に強いか弱いか、ある病気になりにくいかなど)を決めるのです。
遺伝子は、生命情報の集まり。私たち人間を含め、すべての生物が持っています。 人間の場合、生命の営みを左右しているのは、約10万個の遺伝子。その中の1つでも欠陥があれば病気を招くことがあり、多数の遺伝病が知られています。遺伝子の欠陥が原因となって起こる病気を、正常な遺伝子を体内に導入し働かせることで治療をするのが『遺伝子治療』です。遺伝病だけでなく、がんやエイズなどさまざまな病気の治療に効果を挙げつつあります。
人間の体は小宇宙?
私たち人間の場合、大人で約60兆個の細胞 からできており、細胞のひとつひとつの中に約10万種類の遺伝子があります。遺伝子は、DNAという物質から構成されています。人間の細胞一個の中のDNAをひきのばすと、約2メートルもの長さになるというから驚きですよね。人間一人のDNAをすべてつなぐと、その長さはなんと千二百億キロ!地球を三百万周できる計算になります。私たちの体は、ひとつの小宇宙、といってもいいでしょう。
ヒトの全遺伝子(ヒトゲノム)を解読する計画が日米欧の科学者が中心となって進められ、2003年4月に解読完了が宣言されました。その後、ヒトとしての様々な特徴と遺伝情報とを対応づけるための研究や、疾患との関係を明らかにするための研究が、世界中で進められています。こうした研究の進展により、いろいろな疾患の原因や治療法が開発され、ひとりひとりの微妙に異なる体質の違いを調べ、その人に最も適した薬や治療法を選択できるようになりつつあります。
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更新日: 2018年3月5日
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