いつの時代にも、独創的な人、異端児と呼ばれる人は必ずいるものです。既成概念にとらわれない着眼点、経験にもとづく独自の発想により、どれだけの新しい発見が歴史の1ページに刻まれてきたことでしょう。
そして日本には江戸時代から、新種の植物を作ったり、病気の治療を発見するという、人の役に立つ偉業を成し遂げた、いわば「バイオの匠」がいたのです。
朝顔栽培が盛んだった江戸時代。経済的に困窮していた下級武士たちが、高値で売買される珍種を次々と作り出した。
菊、霧島ツツジ、桜(ソメイヨシノ)など、多くの植木職人たちが新品種の栽培に腕を振るっていた。
1642~1701年 江戸初期の食物百科『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』の著者。現代医学や薬学の基本となる学問に影響を与える。
1630~1714年 江戸中期にかけての儒学者。植物学者。主な著作に『本草学(ほんぞうがく)』(漢方薬学)、『大和本草』がある。
株式会社小学館「21世紀こども人物館」より
1698~1769年 江戸中期の蘭学者。日本で初めてサツマイモの栽培に成功し、「芋神様」「甘藷(かんしょ)先生」と呼ばれる。
株式会社学習研究社「教科書にでる人物学習辞典」より
1733~1817年 蘭方医。小浜藩医。オランダの医学書『ターヘルアナトミア』を前野良沢らと翻訳、『解体新書』として発行する。
株式会社学習研究社「教科書にでる人物学習辞典」より
1748~1810年 天然痘予防のための種痘に日本で初めて成功、人痘種痘法を全国に広める。
甘木歴史資料館ホームページより
1810~1863年 江戸末期の蘭方医。種痘の普及やコレラの治療など、近代日本の教育・医業に尽力する。
株式会社世界文化社「肖像画をめぐる謎 顔が語る日本史」より
1852~1931年 日本の細菌学の父。破傷風菌の純粋培養や血清療法の発見は、現代予防医学上の重要な礎となる。
写真提供:社団法人北里研究所
1854~1922年 消化酵素タカヂアスターゼの発見者。また牛の副腎からアドレナリンの抽出に成功、止血剤や強心剤に応用される。
写真提供:三共株式会社
1864~1936年 うま味の成分がグルタミン酸であることを発見し、うま味調味料の製法を発明。
写真提供:味の素株式会社
1874~1943年 ビタミンB1の発見者。脚気に効く成分を米ぬかから抽出し、アベリ酸(のちオリザニン)と命名した。
写真提供:独立行政法人理化学研究所
1876~1928年 梅毒などの研究のほか、南米やアフリカを巡り、黄熱病の研究に生涯を捧げる。
1888~1977年 植物成長ホルモン、ジベレリンの抽出に成功。その技術が種なしブドウなどに応用される。
写真提供:協和発酵工業株式会社
1893~1986年 ゲノム概念の提唱者。コムギの祖先を発見、遺伝資源の重要性の主張、種なしスイカの育成者としても知られる。
写真提供:木原ゆり子様
1914~1986年 カナマイシン、ブレオマイシンなど多くの抗生物質を発見した抗生物質研究の先駆者。
写真提供:財団法人微生物化学研究所
1939年~ 免疫抗体が作られる過程を遺伝子レベルで解明した功績により、1987年日本人で初めてノーベル医学生理学賞を受賞。
1959年~ 困難だったタンパク質などの質量分析を、容易に解析できる手法を考案し、2002年ノーベル化学賞を受賞。
写真提供:株式会社島津製作所
1928年~2018年 生命科学、医学研究用の重要なツールとして活用されているオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質発見の功績により、2008年ノーベル化学賞を受賞。
写真提供:長崎大学
1935年~ アベルメクチンを発見し、それをもとに抗寄生虫薬イベルメクチンを開発。「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法の発見」により、2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞。
1962年~ ES細胞のように分化多能性を持つヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を生成する技術を開発。成熟細胞が初期化され多能性を持つことの発見の功績により、2012年ノーベル生理学・医学賞を受賞。
写真提供:京都大学iPS細胞研究所
1945年~ 細胞が自身のタンパク質を食べて栄養源にする自食作用(オートファジー)に関してその分子メカニズムと生理学的意義を解明。この功績により、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞。
写真提供:東京工業大学
1942年~ がんが免疫による攻撃から逃れる仕組みを解明し、これをがんの免疫治療法に応用して、免疫チェックポイント阻害剤を開発。この功績により、2018年ノーベル生理学・医学賞を共同受賞。
写真提供:京都大学高等研究院
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