技術紹介

新規微生物機能探索のための表現型スクリーニング技術の開発

スマートセル技術により、様々な化合物を生物機能を活用して生産するための代謝設計・育種基盤が構築されました。この技術の汎用性を高め、バイオものづくりにおけるスマートセル技術の社会実装確率を高める「産業用スマートセル」の構築のためには、ゲノム情報をはじめとする情報科学とのさらなる協働、加えて、配列情報を超えた高次の生物機能、特に、培養における種々のパラメータ変動に対応しうる生物機能の利活用が必要となります。
しかしながら、ゲノム解析が進んでいる大腸菌ですら、いまだおよそ3割の遺伝子が機能未知であると言われています。また、遺伝子産物どうしの相互作用により発現する生物機能、さらには微生物間の相互作用により発現する機能を、個々の遺伝子に還元して理解する技術、そこから統合的に高次の生物機能を理解し応用する技術は、充分であるとは言えません。
本事業では、この状況を克服し、バイオものづくりにおける社会ニーズに、有用遺伝子の探索、解析、応用の観点から応え、機能未知遺伝子に機能情報を付与すべく、「バイオ資源活用促進基盤技術」の構築に関する様々な取り組みを展開しています。
その中でも、私たちは、「培養ならびに生産における問題を解決する有用遺伝子・宿主をラインナップすることでバイオものづくりの開発期間を短縮する」ことを目標に、「機能ならびに表現型レベルでの探索により、機能と関連付けられたゲノム情報を拡張し、有用遺伝子・宿主の選抜を効率化する」ための技術基盤を構築しています。
具体的には、機能ならびに表現型レベルでの探索に有用なパウダー化微生物を用いた機能スクリーニングシステムの構築、加えて、それらを活用して、培養生産時に求められる細胞の基礎体力・代謝を担保する遺伝子群、ならびに、高次生物機能を発現する遺伝子群や細胞群を特定するための生物機能探索技術基盤の構築に取り組んでいます。具体的な技術事例は、以下の通り(下図参照)。

最終更新日:2022年11月12日 23:35