環境保全に大きく貢献、植物生まれの燃料「バイオマスエネルギー」。
ここ数年、原油価格が高騰しています。当初は中東地域の政情不安定が理由 (地政学的理由) とされていましたが、最近は原油生産量が限界に達し(ピーク・オイルといわれる)、これを上回る需要のためともいわれています。
また、これまで石油・石炭などの化石資源をエネルギーとして使ってきたため、大気中の二酸化炭素の濃度が増え、地球温暖化の原因のひとつになっています。
これを防ぐためにも限りある化石資源でなく、植物が光合成によって二酸化炭素を固定して生み出されるバイオマスの使用が注目を集めています。
また、バイオマスの使用によって排出される二酸化炭素は、もともと大気中に存在していたものであり炭素の絶対量を増やさないのでカーボンニュートラルといわれています。
こうしたことを背景にして、太古から人類がお酒を造ってきた技術を使い、アメリカではトウモロコシから、ブラジルではサトウキビから2006年にはそれぞれ1800万キロリットルのエタノールが生産され、自動車用の燃料として使用されました。
これ以外の国でも今後さらに増産されようとしています。また、菜種油や椰子油を軽油の代わりに使うバイオディーゼルの生産も進められています。
一方で、食料とされていたものが、自動車燃料用の原料に回されたため、トウモロコシなどの価格が上がり食料品の価格が上昇しはじめています。
そこで食料と競合しないバイオマスである古紙、非可食部のバイオマスである稲わらやとうもろこしの芯や茎葉、或いはこれまで廃棄されたり、燃やされていた間伐材や廃木材等の主要構成成分であるセルロースやヘミセルロースをバイオテクノロジーを使って糖化してからエタノール、軽油の代わりになるブタノールや化学品を作る技術開発が世界中で進められています。
日本でも「バイオマス・ニッポン総合戦略」を推進し、2030年に600万キロリットルのエタノールを生産することを目論んでいます。
食料でないバイオマスから生産されるエネルギーは、地球環境に優しいエネルギーとして期待され、技術開発が進められています。
<もっと詳しく知りたい方へ>
コンテンツはここで終わりです。
ここからはコンテンツのメニューです。