【ニュースリリース】第8回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者決定! | 一般財団法人バイオインダストリー協会[Japan Bioindustry Association]
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【ニュースリリース】第8回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者決定!

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一般財団法人バイオインダストリー協会

第8回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者決定!

 (一財)バイオインダストリー協会(会長:吉田稔)は、第8回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者11名を、下記のように決定しました。

「バイオインダストリー奨励賞」は、2017年、(一財)バイオインダストリー協会が30周年を迎えるのを機に、次の30年を見据えて"最先端の研究が世界を創る-バイオテクノロジーの新時代-"をスローガンに、バイオインダストリー大賞と共にスタートしました。「奨励賞」は、バイオサイエンス、バイオテクノロジーに関連する応用を指向した研究に携わる有望な若手研究者とその業績を表彰するものです。

受賞者の選考は、早稲田大学 理工学術院 教授、竹山春子氏を選考委員長とする24名の委員からなる選考委員会により厳正に行われました。受賞者にはそれぞれ副賞30万円が授与されます。

なお、表彰式・受賞記念講演会は来たる10月9日(水)、国際的なバイオイベント"BioJapan 2024"の会場(パシフィコ横浜)にて行われます。詳細につきましては、追ってご案内いたします。

バイオインダストリー奨励賞 受賞者(11名)

(五十音順、敬称略)

受賞者 所属・役職 受賞研究課題
稲垣 奈都子 東京大学 大学院工学系研究科 助教 中皮前駆細胞に着目したマルチファンクショナル術後癒着防止材の創生
小山内 崇 明治大学 農学部 専任准教授 ラン藻の転写と代謝の改変によるバイオプラスチック生産
神谷 真子 東京工業大学 生命理工学院 教授 革新的バイオイメージングを実現する高精度化学プローブの開発
川井 隆之 九州大学 大学院理学研究院 准教授 次世代創薬を加速する超高感度キャピラリー電気泳動分析技術の開発
鈴木 道生 東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授 炭酸カルシウムのバイオミネラリゼーションの形成メカニズム研究と脱炭素技術の開発
中嶋 智佳子 名古屋市立大学 大学院医学研究科 特任助教 脳傷害における人工足場マテリアルを用いた神経再生・脳機能回復促進方法の開発
永野 惇 龍谷大学 農学部 教授 野外環境におけるトランスクリプトーム変動の解明・予測とその応用
藤井 壮太 東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授 植物の交雑資源拡大に向けた受精前障壁メカニズムの研究
堀 武志 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 助教 医薬品の胎児への移行性評価に資するヒト胎盤バリアモデルの開発
松井 大亮 公立千歳科学技術大学 理工学部 准教授 生化学と異分野技術の融合による可溶性発現技術の開発
三浦 夏子 大阪公立大学 大学院農学研究科 准教授 出芽酵母細胞内における解糖系酵素集合体の発見とその解析・利用に関する研究

奨励賞選考委員会(五十音順、敬称略)

(委員長)
竹山 春子    早稲田大学 理工学術院 教授

(副委員長)
飯島 陽子    工学院大学 先進工学部 応用化学科 教授
大西 康夫    東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授
津本 浩平    東京大学 大学院工学系研究科・医科学研究所 教授

(委員)
阿部 透     サッポロホールディングス(株) 経営企画部 上級研究員
五十嵐 圭日子  東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授/総長特任補佐
井埜 章     塩野義製薬(株)ワクチン事業本部 ワクチン生産技術研究所 研究所長
近江谷 克裕   (国研)産業技術総合研究所 首席研究員
大河内 美奈   東京工業大学 物質理工学院 教授
國澤 純     (国研)医薬基盤・健康・栄養研究所
          ヘルス・メディカル微生物研究センター 副所長/センター長
桑原 明日香   (国研)科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー
河内 智子    キッコーマン(株) 研究開発本部 研究開発推進部 推進グループ長
菅原 達也    京都大学 大学院農学研究科 教授
高橋 裕介    第一三共(株) テクノロジー本部 バイオプロセス技術第二研究所長
高山 誠司    東京大学、奈良先端科学技術大学院大学 名誉教授
瀧村 靖     花王(株) 研究開発部門 生物科学研究所 所長
堤  浩子    月桂冠(株) 醸造部 課長
福島 達伸    三菱ケミカル(株) Science Innovation Center,Biotechnology Laboratory 研究所長
本田 孝祐    大阪大学 生物工学国際交流センター 教授
村山 真一    FrontAct(株) フロンティア事業本部 主席部員
横山 史和    Meiji Seikaファルマ(株) 研究開発本部 創薬研究推進部
         技術企画グループ グループ長
吉田 聡     元キリンホールディングス(株) 飲料未来研究所 リサーチフェロー
吉野 知子    東京農工大学 大学院工学研究院・生命機能科学部門 教授

バイオインダストリー奨励賞・選評(五十音順、敬称略)

◆受賞者1

稲垣 奈都子(いながき なつこ) 東京大学 大学院工学系研究科 助教

研究テーマ 中皮前駆細胞に着目したマルチファンクショナル術後癒着防止材の創生
選評 肝再生を可能とする中皮前駆細胞シートを開発し、これまで困難とされてきた肝移植・再生医療関連研究を大きく前進させる技術開発に成功した。これは、長年にわたる地道な蓄積に基づく大きな成果である。医療への展開に向けた細胞製造を踏まえた産業界との連携を通じて、製品化が強く期待される。今後もこの分野での活躍が大いに期待される研究者である。。

◆受賞者2

小山内 崇(おさない たかし) 明治大学 農学部 専任准教授

研究テーマ ラン藻の転写と代謝の改変によるバイオプラスチック生産
選評 藍藻によるコハク酸の生産とそれを用いたバイオプラスチック合成を目標にしており、藍藻の代謝制御を中心にした基盤研究において数多くの成果をあげている。光合成微生物による有用物質生産という困難な課題に挑戦し続ける一方、藍藻研究の社会実装を目指したベンチャーを起業し、産業界との連携も積極的に行っている。今後もこの分野での活躍が大いに期待される研究者である。

◆受賞者3

神谷 真子(かみや まこ) 東京工業大学 生命理工学院 教授

研究テーマ 革新的バイオイメージングを実現する高精度化学プローブの開発
選評 一細胞解析によるがん診断におけるイメージング技術開発への貢献が顕著であり、特に、ラマンイメージングに適した新たなプローブを開発し、複数の酵素活性を1つのプローブで検出できる研究成果は波及効果の大きいものである。生命科学・創薬科学におけるバイオイメージングの位置づけは高く、その中でプローブ開発を先導してきた成果は特筆に値する。今後もこの分野を牽引する活躍が大いに期待される。

◆受賞者4

川井 隆之(かわい たかゆき) 九州大学 大学院理学研究院 准教授

研究テーマ 次世代創薬を加速する超高感度キャピラリー電気泳動分析技術の開発
選評 キャピラリー電気泳動-質量分析を中心に、zmolレベルでの検出を可能とする超高感度の網羅的な解析システムを構築した。これをシングルセルでのオミクス解析や薬物動態解析に応用し、様々な解析を展開している。バイオロジクスやニューモダリティのような複雑な分子の医薬品開発・実用化に資するものである。産学連携にも積極的に取り組んでおり、本技術の社会実装への期待も大きい。本分野を牽引する研究者として、今後も強く期待される。

◆受賞者5

鈴木 道生(すずき みちお) 東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授

研究テーマ 炭酸カルシウムのバイオミネラリゼーションの形成メカニズム研究と脱炭素技術の開発
選評 アコヤガイの貝殻形成に関わるタンパク質の同定という優れた基礎研究成果を出発点として、バイオミネラリゼーションを独自のCO2固定・貯蔵化技術へと発展させる研究を強力に推進している。産学連携にも積極的に取り組んでおり、本技術の社会実装への期待も大きい。新規性・独創性の高い研究成果をあげており、今後もこの分野を牽引する研究者として期待される。

◆受賞者6

中嶋 智佳子(なかじま ちかこ) 名古屋市立大学 大学院医学研究科 特任助教

研究テーマ 脳傷害における人工足場マテリアルを用いた神経再生・脳機能回復促進方法の開発
選評 傷害を受けた脳において、神経細胞からつくられたニューロンが傷害部位に向けて移動する際に、成長円錐が移動のアンテナおよび司令塔として機能することを見出した。ヘパラン硫酸を含有させたゼラチンファイバー足場素材を移植することにより、新生ニューロンの障害部位への移動が促進され、神経機能が回復することを示した。企業との協働も開始しており、今後の実用化が強く期待される。本領域の先導者として、さらなる牽引が期待される。

◆受賞者7

永野 惇(ながの あつし) 龍谷大学 農学部 教授

研究テーマ 野外環境におけるトランスクリプトーム変動の解明・予測とその応用
選評 野外環境において、植物の遺伝子発現がどのような環境要因に支配されるのかを網羅的トランスクリプトミクスにより解明する「野外トランスクリプトミクス」分野を新たに開拓し、独創性の高い研究成果をあげた。本研究成果により、将来起こりうる気象変動に対する植物の環境応答の予測や新たな植物育種の開発など、産業への大きな貢献が期待される。また、トランスクリプトーム解析技術の社会実装にも着手し、今後、植物分野のみならず他分野への技術貢献を通じて、ますますの活躍が期待できる研究者である。

◆受賞者8

藤井 壮太(ふじい そうた) 東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授

研究テーマ 植物の交雑資源拡大に向けた受精前障壁メカニズムの研究
選評 選評:植物の種間交雑を阻害する受精前障壁メカニズムについて、世界で初めて独力で解明した点で非常に独創性および学術的価値の高い成果をあげた。本成果により、これまで不可能だった種間交雑を可能にする学術基盤が生み出され、遺伝子組み換えに依存しない植物新種の開発、新規な育種法への展開、さらには産業への大きな貢献が期待できる。また、基盤研究としてもこの分野をさらに先導し、活躍が大いに期待できる研究者である。

◆受賞者9

堀 武志(ほり たけし) 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 助教

研究テーマ 医薬品の胎児への移行性評価に資するヒト胎盤バリアモデルの開発
選評 ヒト胎盤幹細胞を用いた胎盤バリアモデルを開発し、薬剤などの胎盤透過性を評価できる評価系を構築した。この胎盤バリアモデルは、実験動物代替法として新規性、有用性が高いものである。医薬品安全性試験の標準化の可能性を探り、スタートアップ企業設立など産業への展開を活発に進めており、今後の社会実装に強い期待が寄せられる。今後、この分野を牽引する研究者としての活躍が期待される。

◆受賞者10

松井 大亮(まつい だいすけ) 公立千歳科学技術大学 理工学部 准教授

研究テーマ 生化学と異分野技術の融合による可溶性発現技術の開発
選評 組換えタンパク質の不溶化を招く法則性を機械学習により見出し、これに基づく可溶性発現技術を独自に複数開発している。産業用酵素の製造において簡便な可溶化デザインは有効であり、多くの企業との共同開発実績からも、その貢献の大きさは高く評価できる。機械学習を取り入れたタンパク質デザインに早期から取り組んでおり、今後もこの分野を牽引する研究者として期待される。

◆受賞者11

三浦 夏子(みうら なつこ) 大阪公立大学 大学院農学研究科 准教授

研究テーマ 出芽酵母細胞内における解糖系酵素集合体の発見とその解析・利用に関する研究
選評 発酵産業において最も重要な代謝ともいえる酵母の解糖系を研究対象とし、培養条件に応答した酵素集合体の形成というユニークな現象を世界に先駆け発見した。また、その機構をタンパク質の集合・解散の制御に利用する新しい分子ツールの開発に取り組んでおり、今後、産業応用への展開において、大きな進展が期待される。今後もこの分野での活躍が大いに期待される。

■ニュースリリースPDF版(659KB)→ award_release_shourei2024.pdf

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