【ニュースリリース】第7回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者決定! | 一般財団法人バイオインダストリー協会[Japan Bioindustry Association]
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【ニュースリリース】第7回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者決定!

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一般財団法人バイオインダストリー協会

第7回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者決定!

 (一財)バイオインダストリー協会(会長:吉田稔)は、第7回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者10名を、下記のように決定しました。

「バイオインダストリー奨励賞」は、2017年、(一財)バイオインダストリー協会が30周年を迎えるのを機に、次の30年を見据えて"最先端の研究が世界を創る-バイオテクノロジーの新時代-"をスローガンに、バイオインダストリー大賞と共にスタートしました。「奨励賞」は、バイオサイエンス、バイオテクノロジーに関連する応用を指向した研究に携わる有望な若手研究者とその業績を表彰するものです。

受賞者の選考は、早稲田大学 先進理工学部生命医科学科 教授、竹山春子氏を選考委員長とする24名の委員からなる選考委員会により厳正に行われました。受賞者にはそれぞれ副賞30万円が授与されます。

なお、表彰式・受賞記念講演会は来たる10月11日(水)、国際的なバイオイベント"BioJapan 2023"の会場(パシフィコ横浜)にて行われます。詳細につきましては、追ってご案内いたします。

バイオインダストリー奨励賞 受賞者(10名)

(五十音順、敬称略、年齢は2023.4.1現在)

受賞者 所属・役職 年齢 受賞研究課題
景山 達斗 神奈川県立産業技術総合研究所 有望シーズ展開事業 常勤研究員 33 再生医療や創薬のための毛包オルガノイドの構築
加藤 創一郎 産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 上級主任研究員 44 電気化学活性を持つ微生物の生理・生態学的解析とその応用利用
加藤 晃代 名古屋大学 大学院生命農学研究科 助教 39 翻訳効率を向上させるペプチドに関する研究
北島 正章 北海道大学 大学院工学研究院 准教授 39 下水中ウイルスの検出技術基盤の確立とCOVID-19下水疫学調査の実用化
栗原 新 近畿大学 生物理工学部 准教授 44 日欧ヒト腸内常在菌叢における最優勢種のハイスループット培養・解析法の開発と応用
小松 徹 東京大学 大学院薬学系研究科 助教 41 Proteoform レベルの酵素機能網羅的解析に基づく疾患診断技術の開発
白崎 伸隆 北海道大学 大学院工学研究院 准教授 40 浄水処理工程におけるヒトカリシウイルスの未知動態の解明と処理技術の高度・高効率化
鈴木 洋 名古屋大学 大学院医学系研究科 教授 43 遺伝子制御技術を最適化する数理シミュレー ションの構築
古澤 之裕 富山県立大学 工学部 准教授 40 腸内細菌を介して免疫機能を調節する食物繊維の発見と疾患予防への応用
三上 統久 大阪大学 免疫学フロンティア研究 センター 特任准教授 37 機能的で安定な誘導性制御性T細胞の研究開発

奨励賞選考委員会(五十音順、敬称略)

(委員長)
竹山 春子    早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科 教授

(副委員長)
飯島 陽子    工学院大学 先進工学部 応用化学科 教授
大西 康夫    東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授
津本 浩平    東京大学 大学院工学系研究科・医科学研究所 教授

(委員)
阿部 透     サッポロホールディングス(株) 経営企画部 上級研究員
五十嵐 圭日子  東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授/総長特任補佐
井埜 章     塩野義製薬(株)バイオモダリティ研究所 研究所長
近江谷 克裕   産業技術総合研究所 首席研究員
大河内 美奈   東京工業大学 物質理工学院 教授
國澤 純     医薬基盤・健康・栄養研究所
          ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長
桑原 明日香   科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー
河内 智子    キッコーマン(株)研究開発本部 研究開発推進部 推進グループ長
高山 誠司    東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授
瀧村 靖     花王(株)研究開発部門 生物科学研究所 所長
堤  浩子    月桂冠(株)醸造部 課長
野村 武彦    住友ファーマ(株)理事、フロンティア事業推進室長
橋本 隆二    第一三共(株)バイオ医薬第二研究所 研究所長
藤井 智幸    東北大学 大学院農学研究科 教授
本田 孝祐    大阪大学 生物工学国際交流センター 教授
松村 康生    京都大学 生存圏研究所 特任教授
安田 磨理    三菱ケミカルアグリドリーム(株)農業資材営業部 副部長
横山 史和    Meiji Seikaファルマ(株)研究開発本部 創薬研究推進部
         技術企画グループ グループ長
吉田 聡     キリンホールディングス(株)飲料未来研究所 リサーチフェロー
吉野 知子    東京農工大学 大学院工学研究院・生命機能科学部門 教授

バイオインダストリー奨励賞・選評(五十音順、敬称略)

◆受賞者1

景山 達斗 (かげやま たつと) 神奈川県立産業技術総合研究所 有望シーズ展開事業 常勤研究員

研究テーマ 再生医療や創薬のための毛包オルガノイドの構築
選評 毛髪再生医療のための基盤要素技術となる毛包オルガノイドの作製技術を確立した。上皮系細胞と間葉系細胞の自己組織化をマトリゲル添加により制御し、高効率に生体外で成熟した毛包を作製することに成功した。毛髪改善のための薬剤スクリーニング系にも活用されており、毛髪疾患に対する新たな治療薬開発にも貢献するであろう。今後もこの分野を牽引する研究者として活躍が期待される。

◆受賞者2

加藤 創一郎 (かとう そういちろう) 産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 上級主任研究員

研究テーマ 電気化学活性を持つ微生物の生理・生態学的解析とその応用利用
選評 電気化学活性を持つ微生物を対象に、微生物発電、電気共生に関する先駆的研究を行ってきた。また、電気エネルギーを用いたCO2から酢酸を生産する細菌の分離培養にも成功している。これらは省エネ型排水処理、CO2資源化につながる基礎研究であり、その独自性・先進性は高く評価される。本技術の産業化への期待も大きく、この分野を牽引する研究者として期待される。

◆受賞者3

加藤 晃代 (かとう てるよ) 名古屋大学 大学院生命農学研究科 助教

研究テーマ 翻訳効率を向上させるペプチドに関する研究
選評 タンパク質のN末端に新規ペプチドタグ(MSKIKタグ)を付加することにより、翻訳停止効果を打ち消し、タンパク質合成量を大幅に増大させる技術を開発した。本技術は組換えタンパク質生産における波及性の大きな技術である。スタートアップ企業の創出を行うなど社会実装に向けた取り組みも積極的に行っており、今後のバイオ生産技術分野における研究者として活躍が期待される。

◆受賞者4

北島 正章 (きたじま まさあき) 北海道大学 大学院工学研究院 准教授

研究テーマ 下水中ウイルスの検出技術基盤の確立とCOVID-19下水疫学調査の実用化
選評 COVID-19に対する下水疫学調査の有用性を提唱し、下水中の新型コロナウイルス高感度検出技術の開発を行った。さらに、変異解析や他の呼吸器ウイルスにも拡張することが可能であることも示した。市中感染状況のモニタリング手法として重要な技術であり、すでに社会実装されて一定の成果を上げている。感染症サーベイランスの分野を牽引する研究者として活躍することが期待される。

◆受賞者5

栗原 新 (くりはら しん) 近畿大学 生物理工学部 准教授

研究テーマ 日欧ヒト腸内常在菌叢における最優勢種のハイスループット培養・解析法の開発と応用
選評 オミクス解析とバイオインフォマティクス研究が主流となりつつある菌叢解析分野において、腸内細菌を対象として、なるべく多くの菌を一つの培地で培養できるようにするというアプローチで多くの菌の分離培養に成功した。さらに、分離株を用いた生化学研究で着実に成果を挙げている。企業との連携を精力的に行っており、この分野の研究をさらに発展させる研究者として期待される。

◆受賞者6

小松 徹 (こまつ とおる) 東京大学 大学院薬学系研究科 助教

研究テーマ Proteoform レベルの酵素機能網羅的解析に基づく疾患診断技術の開発
選評 血液中の酵素の機能異常を指標にした疾病の早期診断を目指し、酵素活性を一分子レベルで測定する技術開発に成功した。マイクロデバイスと活性の可視化のための蛍光プローブを組み合わせ、網羅性と高感度化を達成した。これによって、血中マーカーの新たな探索法の可能性を示した。既にベンチャーを起業し事業展開しており、今後の活躍が期待できる研究者である。

◆受賞者7

白崎 伸隆 (しらさき のぶたか) 北海道大学 大学院工学研究院 准教授

研究テーマ 浄水処理工程におけるヒトカリシウイルスの未知動態の解明と処理技術の高度・高効率化
選評 水の再資源化に重要とされる効率的なウイルス除去に資する新規ウイルス浄水処理性評価法を確立した。遺伝子情報をもとにウイルス粒子の作製を可能とし、処理効果の評価が容易になった。そして、ウイルスを高度かつ高効率に処理可能な新たな水処理用凝集剤を開発した。次世代の浄水処理システム構築に大きく貢献する研究者としてその活躍が期待される。

◆受賞者8

鈴木 洋 (すずき ひろし) 名古屋大学 大学院医学系研究科 教授

研究テーマ 研究テーマ:遺伝子制御技術を最適化する数理シミュレーションの構築
選評 選評:広く用いられている遺伝子制御技術であるRNA干渉とCRISPR/Cas9に数理シミュレーションを融合することでこれらの技術の最適化に成功した。特にCRISPR/Cas9のオフターゲットに対して効率や安全性を100倍以上高めることに成功した成果は、ゲノム編集の分野で非常に波及効果が高いと評価できる。新規性・独創性の高い成果であり、今後もこの分野を牽引する研究者として期待される。

◆受賞者9

古澤 之裕 (ふるさわ ゆきひろ) 富山県立大学 工学部 准教授

研究テーマ 腸内細菌を介して免疫機能を調節する食物繊維の発見と疾患予防への応用
選評 食物繊維摂取による免疫機能調節について、原因物質の特定、腸内細菌叢と短鎖脂肪酸を介したTregの発現誘導メカニズムを明らかにし、腸炎の発症を抑制する研究で成果を収めた。医療と食品の両方に寄与する研究として高く評価できる。機能性素材を取り扱う企業とも積極的に連携しており、今後、食を通じた疾病予防の分野においてさらなる貢献が期待できる研究者である。

◆受賞者10

三上 統久 (みかみ のりひさ) 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 特任准教授

研究テーマ 機能的で安定な誘導性制御性T細胞の研究開発
選評 免疫抑制治療のための細胞製剤として制御性T細胞(Treg)は有効であるが、そのためには安定的に細胞数を準備することが必要である。それに対して、in vitro誘導が可能な化合物を特定し、Treg様エピゲノム状態を付与した高機能安定型の誘導型Treg製造法の開発に成功した。産学連携で臨床開発も進められており、今後の細胞治療の分野の推進に貢献する研究者として期待される。

■ニュースリリースPDF版(519KB)→ award_release_shourei2023.pdf

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