第6回バイオインダストリー奨励賞受賞者の紹介 | 一般財団法人バイオインダストリー協会[Japan Bioindustry Association]
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第6回バイオインダストリー奨励賞受賞者の紹介

奨励賞受賞者12人からメッセージをいただきました

shourei22_1.jpg.jpg 市橋 伯一 氏 氏 東京大学大学院 総合文化研究科
「細胞外で複製し進化する人工ゲノムDNAの開発」
この度は名誉ある賞を賜り大変光栄に存じます。共同研究者を始めとした皆様に深く感謝いたします。本研究では、核酸やタンパク質といった無生物材料のみを用いて、ゲノムDNA からの遺伝子発現と持続的な複製による進化を細胞外で行うことに成功しました。今後、今回用いた人工ゲノムDNA に遺伝子を追加していくことにより、低分子化合物を与えるだけで自律的に増殖する人工細胞を開発し、より安定で制御しやすい有機物質生産へつなげていきたいと考えております。また、この人工細胞技術により、普通の細胞を使っていては得られないような細胞毒性のある酵素や人工基質を取り込むような酵素の進化工学も行っていきたいと考えております。

shourei22_2.jpg.jpg 簡 梅芳 氏 東北大学大学院 環境科学研究科
「生物学的環境技術の効率化に寄与する生物間相互作用の解明と応用展開」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜りまして、大変光栄に存じます。選考委員会の先生方、これまでご指導・ご支援を頂いた方々、並びに共同研究者と研究室の学生の皆様に、心から御礼申し上げます。私は、環境汚染物質の生物学的浄化機能の解明と環境技術への応用に取り組んできました。これまでは水銀やヒ素、PAHs などの環境汚染物質に対して、微生物と植物のそれぞれおよび両者からなる「複合生物系」による効率的な汚染除去機構の解明と技術提案を致しました。今後は環境汚染物質の他、金属資源の生物応答機能の理解と活用にも取り組み、資源循環型社会の実現に貢献する生物学的環境技術の開発を目指します。

shourei22_3.jpg.jpg白井 智量 氏 理化学研究所 環境資源科学研究センター
「人工代謝経路の設計技術を用いた有用化合物のバイオ生産に関する研究」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜りまして、誠に感謝申し上げます。同時にこれまで多大なご支援や叱咤激励をいただきました多くの皆様ならびに共同研究者の方々に心より御礼申し上げます。本研究では、以下の3 つの代謝設計ツールを開発しました。①高速に代謝を設計するための計算最適化ツール:AERITH、②目的の化合物を効率良く生産するためのハイブリッドな代謝設計ツール:HyMeP、③未知の生合成経路を予測・設計するツール:BioProV。これらを機能的に活用することにより、微生物を用いてグルコースなどの非化石原料から様々な有用化合物のバイオ生産を実証することに成功しました。

shourei22_4.jpg.jpg杉山 弘和 氏 東京大学大学院 工学系研究科
「抗体・幹細胞製造プロセスのデジタル設計を支援するシミュレーション技術」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜りまして、大変光栄に存じます。選考委員会の先生方、ご指導・ご支援・ご助言をいただきました皆様、共同研究者の皆様に心より御礼申し上げます。私は、抗体医薬品や幹細胞の製造について、プロセス設計を支援するシミュレーション技術を開発して参りました。ヒトiPS細胞については、凍結時の細胞へのダメージを考慮した新規モデルを開発し、品質と生産性の向上につながる温度プロファイルを特定しました。抗体医薬品についても、品質や経済性、供給安定や環境影響を考慮したプロセス設計を研究しています。 今後も、デジタル技術による意思決定支援、さらにはR&Dの効率化や迅速化に貢献して参りたいと思います。

shourei22_5.jpg.jpg瀧澤 文雄 氏 福井県立大学 海洋生物資源学部
「魚類特有のIgT 抗体による粘膜免疫制御機構の解明」
粘膜組織が分泌する粘液は、体を守るために多様な機能を持っています。魚類は体表のエラや皮膚も粘液を大量に分泌するため、粘膜・粘液研究の魅力的な研究対象です。今回、魚類特有のIgT 抗体に着目し、ニジマスのエラにおいてIgT が病原体の排除と常在細菌叢の制御に必須であることを見いだしました。今後、本受賞を励みに、IgT を効果的に誘導できる粘膜ワクチンの研究開発に取り組み、養殖魚の安定かつ持続的な生産に貢献していく所存です。本研究を奨励賞にご選出いただいた選考委員の皆様そしてご指導・ご支援いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

shourei22_6.jpg.jpg田中 祐圭 氏 東京工業大学 物質理工学院
「バイオミネラリゼーションによる機能性ナノ粒子の精密グリーン合成」
この度は奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の方々やご指導ご支援いただいた先生方、そして共に研究を進めてくれた学生や卒業生に心より感謝いたします。貝や真珠に代表されるように、生物は環境中という穏やかな条件で緻密に形態制御された鉱物を合成します(バイオミネラリゼーション)。本研究では、これをナノサイズレベルで制御できるようにデザインした、機能性ナノ粒子の環境調和型(グリーン)合成法を提案しています (バイオ"ナノ"ミネラリゼーション)。ペプチドを用いてがんの光温熱療法に利用できる可能性のある三角金ナノプレートなどが合成できており、今後は生体医工学分野など幅広い分野への展開を目指します。

shourei22_7.jpg.jpg藤田 雄 氏 東京慈恵会医科大学エクソソーム創薬研究講座
「細胞外小胞・エクソソーム治療用製剤の開発と社会実装」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。選考委員の皆様、ご指導いただいた共同研究者の先生方、研究を支えてくれた大学院生・研究補助員の皆さんに心より御礼申し上げます。本研究では、すべての細胞が分泌する細胞外小胞・エクソ ソームに着目した新規創薬モダリティの治療薬開発を行っております。製剤の製造方法には、様々な技術的なハードルや品質管理における問題がありますが、産学連携で技術開発を行って参りました。本研究で開発した製造法を基盤とすることにより、次世代型セルフリー治療であるエクソソーム医薬品の発展に貢献し、難病疾患を中心とした患者さんに届く治療薬の社会実装に取り組んで参ります。

shourei22_8.jpg.jpg星野 歩子 氏 東京工業大学 生命理工学院
「臓器特異的転移を司るがん細胞由来エクソソームを用いた転移抑制治療と予測診断の開発」
この度は大変名誉あるバイオインダストリー奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。これまでご指導・ご支援いただきました皆様、そして研究室の皆様に心より御礼申し上げます。本研究では、エクソソームという、タンパク質や核酸などの細胞情報を臓器から別の臓器へ運ぶ小胞に着目しています。我々は、がん細胞がエクソソームを介して転移先を規定する機構を見いだし、そのエクソソームを標的とした転移抑制的な 治療法を目指しています。また、血液中のエクソソーム情報をもとに、がんの有無の判定、がん種の同定が可能であることを報告し、今後、がん診断キットの開発など産学連携研究を推進し、実社会で役に立てる研究開発を目指します

shourei22_9.jpg.jpg村山 正宜 氏 理化学研究所 脳神経科学研究センター
「広視野・高速・高解像度2 光子顕微鏡の開発と生体脳への応用」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の先生方やご指導・ご支援いただきましたすべての皆様に心より感謝致します。高解像度を保ちつつ広く活動を記録することに懐疑的な方がいる中でスタートした本プロジェクトでしたが、脳の全体を俯瞰することで、個性ある細胞、ハブ 細胞の発見に至りました。また、脳は頑健性のあるネットワークであるよりも、情報処理に対して費用対効果の高いスモールワールドネットワークを形成していた結果は、脳の進化戦略の一部を理解できたと考えております。今後は、開発した顕微鏡を広く医学・生物学分野へ応用し、社会に貢献することを目指します。

shourei22_10.jpg.jpg吉見 昭秀 氏 国立がん研究センター 研究所 がんRNA 研究ユニット
「次世代核酸医薬による新規がん治療法の展開」
この度は、大変栄誉ある2022 年度バイオインダストリー奨励賞に選んでいただきまして、誠にありがとうございます。選考委員の先生方をはじめとするバイオインダストリー協会ご関係者の方々、ならびに共同研究者の皆様、ファンドエージェンシーに御礼申し上 げます。私たちのグループは23 万例の次世代シーケンスデータを解析することによって、核酸医薬により治療可能な遺伝子変異を抽出した結果、このような治療標的化の可能性がある遺伝子変異は、がんにおいて非常に高い頻度で検出されることがわかりました。そこで私たちは、次世代核酸医薬による新しいがん治療法の開発に向けて研究を進めています。

shourei22_11jpg.jpg渡邉 力也氏 理化学研究所 開拓研究本部
「新型コロナウイルスの世界最速デジタル検出技術の開発」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。共同研究者の先生方、ならびに、研究室の同僚に感謝いたします。私は生物物理学の基礎研究者ではございますが、この度、素晴らしい研究チームに恵まれ、基礎研究で培った1 分子計測技術を基盤とした「新型コロナウイルスの世界最速デジタル検出技術」を開発することに成功いたしました。今後は、ポストコロナを見据えて、多種類のウイルス感染症の早期診断を実現すべく、当該技術の実用化を目指して参りたいと考えております。

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