個別技術紹介

培養データ駆動型ダイナミクス解析技術開発

〜細胞の表現型を予測する動的モデル〜

(国研)産業技術総合研究所

技術の説明

本技術は、測定された培養データをもとに宿主微⽣物の代謝反応経路の効果的な改変箇所を提案するものである。NEDO『植物等の⽣物を⽤いた⾼機能品⽣産技術の開発』事業において、⽬的の有⽤化合物を⾼⽣産する微⽣物の代謝設計⼿法の開発1)が⾏われ、また、設計した宿主微⽣物の表現型予測が実データを使って検証されている2)。そこで本事業で経時的に変化する培養挙動に対し、それぞれの時点での細胞の表現型の1つである代謝フラックスを予測し、「収率」や「⽣産速度」の最適化のための代謝改変を提案する。使⽤する基本的な技術はフラックスバランス解析(FBA)であり、フラックス(v) は、各微⽣物のゲノムスケールレベルの代謝モデル(S) を⽤いて、種々の束縛条件のもと以下のように計算できる。

FBAにより各タイムポイントにおける増殖速度や⽬的物の⽣産速度などが算出でき、そこから培養プロファイルが予測できる(下図)。
予測値と実際の培養試験結果とギャップが⽣じた場合に解析するポイントを提⽰し、フラックスの差異から強化・⽋損などの代謝反応の改変箇所の提案が可能になる。

応用先

  • 各企業における微⽣物⽣産による事業化の⽀援・技術コンサル

参考資料

  • Shirai, T. and Kondo, A.: In silico design strategies for the production of target chemical compounds using iterative single-level linear programming problems, Biomolecules, 12(5), 620 (2022)
  • Kuriya, Y. and Araki, M.: Dynamic flux balance analysis to evaluate the strain production performance on shikimic acid production in Escherichia coli, Metabolites, 10(5), 198 (2020)

最終更新日:2022年11月12日 23:35