【ニュースリリース】第2回バイオインダストリー大賞受賞者決定!

大賞・奨励賞

更新日:2018年7月18日

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一般財団法人バイオインダストリー協会

第2回「バイオインダストリー大賞」受賞者決定!

 (一財)バイオインダストリー協会(会長:清水 昌)は、喘息治療薬のイノベーション創出に導いた高津 聖志 富山県薬事総合研究開発センター 所長を、第2回「バイオインダストリー大賞」受賞者に決定しました。

 「バイオインダストリー大賞」は、2017年、(一財)バイオインダストリー協会が30周年を迎えるのを機に、次の30年を見据えて "最先端の研究が世界を創る―バイオテクノロジーの新時代―"をスローガンに、新たにスタートしたものです。バイオインダストリーの発展に大きく貢献した、または、今後の発展に大きく貢献すると期待される顕著な業績を表彰します。

 (国研)科学技術振興機構顧問・相澤 益男氏を選考委員長とする13名の委員からなる選考委員会による厳正な審査を経て、受賞者1名を決定しました。受賞者には副賞300万円が授与されます。

 なお、贈呈式・受賞記念講演会は来たる10月10日(水)、国際的なバイオイベント"BioJapan 2018"の会場(パシフィコ横浜)にて行われます。詳細につきましては、追ってご案内いたします。

< 受 賞 者 >

高津 聖志 (たかつ きよし) 氏 73歳 富山県薬事総合研究開発センター 所長

受賞業績   「IL-5/IL-5受容体の発見と喘息に対する抗体医薬品の創出」

 高津聖志氏は、マウスB細胞の増殖分化因子としてインターロイキン-5(IL-5)/IL-5受容体を発見し、さらにIL-5がヒトでは好酸球の増殖分化に関与していることも見出して、好酸球の制御に基づく新たな喘息治療のための抗体医薬品の開発を主導した。

 協和発酵キリン/アストラゼネカ/メディミューンにより開発された抗IL-5受容体抗体である好酸球性重症気管支喘息治療薬ファセンラ(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え))は、喘息を重症化する好酸球を直接的かつ速やかに除去する。2017年から2018年にかけ米国、欧州、日本等で相次いで承認され、既存治療では症状コントロールができず、頻回の喘息増悪や呼吸機能の低下を余儀なくされている重症喘息患者に対して、追加維持療法という新たな選択肢を提供する。

 IL-5/IL-5 受容体の発見に端を発する抗体医薬品3剤が喘息治療薬として既に販売されており、これら3 剤の抗体医薬品の全世界での売上は、2021 年には合計で20 億USD を超えると見込まれている。

 高津聖志氏の基礎研究におけるブレークスルーは、国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するものであり、バイオインダストリー大賞にもっとも相応しいと高く評価した。

受賞業績とプロファイル

<バイオインダストリー大賞受賞者 略歴、受賞理由>

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受賞者  高津 聖志(たかつ きよし)氏 富山県薬事総合研究開発センター 所長

◆略歴

1967年 富山大学 薬学部 卒業
1976年 大阪大学医学部 助手
1978年 大阪大学医学部 助教授
1982年 熊本大学医学部 教授
1990年 東京大学医科学研究所 教授
2007年 富山県薬事研究所 所長
(現:富山県薬事総合研究開発センター)
富山大学大学院医学薬学研究部 客員教授

◆主な受賞・栄誉

1994 年 持田記念学術賞 (持田記念医学薬学振興財団)
1994 年 FELLOW, American Association for the Advancement of Science (AAAS)
2000 年 International Research Award (Human Frontier Science Program)
2003 年 野口英世記念医学賞 (野口英世記念財団)
2007 年 Paul Ehrlich Award(国際好酸球学会)
2010年 富山新聞文化賞(富山新聞社)

◆受賞業績と受賞理由(詳細)

 高津 聖志氏は、1986年、マウスB細胞増殖分化誘導因子としてインターロイキン-5(IL-5)と呼ばれる蛋白性生理活性物質の同定に成功したのち、1990年その受容体の構造も明らかにした。さらには、抗IL-5抗体を用いた研究から、IL-5が好酸球の分化・増殖、活性化に重要な働きをする事を解明した。高津聖志氏らの研究成果は、IL-5/IL-5受容体に着目した好酸球増多を選択的に阻害することにより新しい治療薬の開発に大きく貢献し、IL-5またはIL-5受容体を標的とする3剤の抗体医薬(メポリズマブ、レスリズマブ、ベンラリズマブ)がいずれも喘息治療薬として販売され、メポリズマブにおいては好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に対しても承認を得ており、これら3剤の抗体医薬品の全世界での売上は、2021 年には合計で20億USDを超えると見込まれている。

 高津聖志氏自身は、1991年、協和発酵工業(現協和発酵キリン)と共同で、抗ヒトIL-5受容体抗体の開発に着手した。協和発酵キリンで開発されたヒト化抗ヒトIL-5受容体αモノクローナル抗体製剤は、その後、協和発酵キリンの完全子会社であるBioWa社から、メディミューン(現アストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門)へ導出され、メディミューンと協和発酵キリンにより、好酸球性重症気管支喘息治療薬ファセンラ(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え))が開発された。

 ファセンラは、2017年11月14日の米国食品医薬品局(FDA)による承認、および2018年1月10日の欧州委員会(EC)による販売承認に続き、日本においても2018年1月19日に製造販売承認され、アストラゼネカによって販売されている。ファセンラは、従来の治療薬とは異なる作用機序によりNK細胞を誘導し、血中や気道に存在する喘息の重症化に関わる好酸球を直接的かつ速やかに除去することで、重症喘息患者のQOLを改善することが報告されており、またその作用機序は、まだ完全には明らかになっていない喘息の病態解明にも繋がる可能性がある。

 このように、高津聖志氏が、基礎研究の成果を産学連携のもと、画期的な喘息治療薬のイノベーション創出に、多大な貢献を遂げた。その業績は、国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するものであり、高津聖志氏は、バイオインダストリー大賞にもっとも相応しいと高く評価され、第2回バイオインダストリー大賞を贈呈するに至った。

大賞選考委員会

(委員長)

  相澤 益男  東京工業大学 元学長、(国研)科学技術振興機構 顧問 

(委員) (五十音順 敬称略)

  加賀 邦明 三菱ケミカル株式会社 顧問
  熊谷 英彦 石川県立大学 学長
  五條堀 孝 アブドラ国王科学技術大学 特別栄誉教授
  高橋 里美 元京都大学大学院農学研究科 客員教授
  永井 和夫 中部大学生物機能開発研究所 客員教授
  西山  徹 認定NPO法人バイオ未来キッズ 理事長
  松田  譲 (公財)加藤記念バイオサイエンス振興財団 理事長
  松永  是 東京農工大学 特別招聘教授、前学長
  宮田  満 (株)日経BP 特命編集委員、株式会社宮田総研 代表取締役
  室伏 きみ子 お茶の水女子大学 学長
  山崎 達美 中外製薬株式会社 特別顧問
  米原  徹 東レ株式会社 専任理事

【バイオインダストリー協会について】
 1942年設立の酒精協会を前身とし、発酵工業協会を経て1987年、財団法人バイオインダストリー協会と改称、2011年に一般財団法人に移行した。バイオインダストリー分野の研究開発と産業発展を、産・学・官による連携によって、総合的に推進する日本唯一の組織である。バイオインダストリーに関する科学技術の進歩を通じて、バイオインダストリーおよび関連産業の発展を図り、人々の生活の質の向上に寄与するために、先端技術開発から産業化に至るまでのさまざまな場面で社会に貢献している。企業会員247社、公共会員115組織、個人会員約600人から構成。(2018年4月現在)

【本発表資料についてのお問い合わせ先】
 (一財)バイオインダストリー協会 広報部
 電話:03-5541-2731  FAX:03-5541-2737
 E-mail: jbaaward(at)jba.or.jp ((at)を@に変換して下さい。)

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