【開催日時】 2023年2月15日(水)15:00~17:10
【会場】 Zoom配信
【定員】 200人
【主催】 (一財)バイオインダストリー協会 大賞・奨励賞事務局
人類がCOVID-19という未知との遭遇から3年。
コロナ関連ではワクチン開発と共に、治療薬や迅速高精度な診断技術に関する研究が急展開している。また、創薬研究を担うレッドバイオの分野、特に新規創薬モダリティーと呼ばれる領域での研究は日進月歩の勢いにあり、次世代核酸医薬による新しいがん治療法の開発研究、エクソソームの機能を利用するマルチターゲットで独創性の高い新しい治療薬の研究が急速に進んでいる。
2022年度第6回バイオインダストリー奨励賞受賞者三名の先生から人類が直面する様々な疾病に向けて、最先端の研究成果と未来への展開を紹介いただく。
オープニングトーク JBA事務局
「次世代核酸医薬による新規がん治療法の展開」
吉見 昭秀 氏(国立がん研究センター研究所 分野長)
私たちのグループは、がんにおいて核酸医薬の標的とすることが可能な遺伝子変異を検出するためのパイプラインを構築し、23万例の次世代シークエンスデータを解析することによって、多数の治療標的を見出しました。実際にこれらの遺伝子変異は、非常に強いRNAスプライシング異常を誘導すること、核酸医薬によりそのスプライシング異常を修正することが可能であることがこれまでの検討でわかりました。 そこで私たちは、これまでにない視点から、次世代核酸医薬による新しいがん治療法の開発を目指して研究を進めています。
「細胞外小胞・エクソソーム治療用製剤の開発と社会実装」
藤田 雄 氏(東京慈恵会医科大学・医学部 講師)
細胞外小胞(extracellular vesicle: EV)・エクソソームは、脂質二重膜で囲まれた100nm前後の顆粒であり体液中に安定して存在し、分泌細胞の内的環境を反映したmicroRNAなどの核酸およびタンパク質など多様な内包物を含有して、それらを細胞間で送受する。EVを介した細胞間コミュニケーションの理解は、疾患の病態機序、バイオマーカー開発、そしてここ数年で治療薬応用へと研究が展開されている。このEV創薬は、細胞間情報伝達という生命現象を利用して内包する複合分子のカクテルが同時に受け手側に伝達されることにより、マルチターゲットな薬効が期待できる独創性の高い新しい治療薬である。一方で、創薬開発における大きな課題点に、EVの精製および品質管理を含めた製造工程の確立の困難さがあり、本新規モダリティの開発が国内で遅れている現状もある。本演題では、現在、開発中の気道上皮細胞由来EVを開発例とし、新しい創薬モダリティである開発状況、さらに社会実装に向けた取り組みを概説する。
「新型コロナウイルスの世界最速デジタル検出技術の開発」
渡邉 力也 氏((国研)理化学研究所 開拓研究本部 主任研究員)
昨今、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の世界的な流行に伴い、汎用的なウイルス感染診断法の確立が急務とされている。私たちは、「マイクロチップを用いた生体分子の1分子定量法」と「CRISPR-Casを用いた核酸検出技術」を融合させることで、SARS-CoV-2などのRNAウイルスを1分子単位で高感度かつ世界最速の迅速性 (9分以内) をもって全自動検出できる独自技術 (SATORI法) の開発に成功した。また、1塩基単位の変異解析から変異株を判定する新技術を開発/実装することにも成功しており、COVID-19の臨床検体を用いた実証実験では、陽性判定、および、罹患している変異株の判定において98%の正解率を達成した。本演題ではそれらの技術開発の詳細を紹介するとともに、感染症診断技術としての近未来像を提示したい。
クロージングトーク
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(一財)バイオインダストリー協会(担当:近藤、北清)
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