2024 VOL.82 NO.1
巻頭言
・二刀流 三刀流(秦 洋二)
目で見るバイオ
・うどんこ病の感染拡大に関与する分生子の形成と放出(野々村照雄)
・糸状菌の隣接する細胞をつなぐ穴のサイズを規定する因子(丸山潤一)
解説
・線虫共生細菌培養物から見いだされた結核菌に選択的な抗生物質(今井 優)
要旨
本研究では線虫共生細菌Photorhabdusを探索源とした抗生物質探索研究に、各種病原菌に対する活性の差異に着目したスクリーニング系を組み込むことで、結核菌に選択的な活性を示す抗生物質を発見した。
・糸状菌の細胞間連絡の制御に関与する因子の発見とその系統進化(丸山潤一)
要旨
糸状菌は多細胞であり、菌糸状に細長く連なる細胞を仕切る隔壁に空いた穴「隔壁孔」を介して隣り合う細胞どうし連絡している。本稿では、糸状菌の細胞間連絡の制御に関与する多数の因子の発見とこれらの進化的意味について解説する。
・小型化接着タンパク質による大腸菌の固定化と微生物反応への応用(吉本将悟・堀 克敏)
要旨
カーボンニュートラルの実現に向けて、生体触媒を用いたバイオプロセスが期待を集めている。有用株の構築だけでなく、生産物の分離や回収なども含めたプロセス全体の効率化が重要である。本解説では、新規の細菌固定化技術について紹介する。
・植物性代替肉の嗜好性向上を目指した酵素利用について(酒井杏匠)
要旨
タンパク質危機に対処する手段として脚光を浴びている「植物性代替肉」は、有史以来人類が築き上げた畜肉の嗜好性にいまだ達していない。本稿では、産業用酵素による「植物性代替肉」の高機能化・美食化に向けた挑戦について紹介する。
トピックス
・心身の軽度不調と栄養成分摂取量との関係性に関する観察研究(勝山(鏡)豊代・西平 順)
・寄生カビがうどんこ病菌の分生子放出を抑制する(野々村照雄)
・アンビエントイオン化質量分析による植物含有アントシアニンの迅速分析(石橋美咲・白武勝裕)
・能登海洋深層水で飼育したヒラメとイカの特性(鈴木信雄)
・タンパク質の天然構造形成を促進する低分子ジスルフィド化合物の開発(村岡貴博)
・内因性転移因子を利用した醤油乳酸菌変異株のスクリーニング法(渡部 潤)
・遺伝子過剰発現プロファイリングによる酵母の増殖制限因子の探索(守屋央朗)
・生分解性プラスチック"ポリアミド 4"を分解する新規な海洋細菌酵素(齋藤祐介・山田美和)
・ショウジョウバエの痛覚逃避反応を調節するGPIアンカー型タンパク質(碓井理夫)
・ヒトiPS細胞由来心筋細胞の生着能を改善する合成レチノイド(笠本 学・舟越俊介・吉田善紀)
・ファージ提示法に機械学習を適用した標的分子結合タンパク質の選抜(伊藤智之・Thuy Duong Nguyen・梅津光央)
・超小型加速度センサーとシミュレーションを利用したトウモロコシの倒伏予測(友部 遼・中島大賢・加藤洋一郎)
バイオの窓
・インドでの実証実験と現場滞在(小野寺 崇)
特集
第7回バイオインダストリー大賞 受賞業績
・遺伝子組換えウイルスを用いたがんのウイルス療法の開発と実用化(藤堂具紀)
・第7回バイオインダストリー奨励賞 受賞者インタビュー
この素材!この技術!が世の流れを変えた!
・夢の糖質トレハロース ~開発の歴史とサステナビリティへの貢献(虎谷輝正)
産業と行政
・モダリティのパラダイムシフトに伴う知財のパラダイムシフト(秋元 浩)
・平時はバイオ医薬品、有事にはワクチン製造のデュアルユースの実現(下田裕和・堀 卓朗)
AMED「RNA標的創薬技術開発事業」から創薬を目指して(4)
・インシリコRNA -薬物ドッキングと核酸シミュレーション計算(福西快文)
ヒトゲノム解読20周年記念(2)
・ゲノムとAI:データ駆動的アプローチが描く次世代創薬(夏目やよい)
バイオコミュニティの現在(1)
・Greater Tokyo Biocommunity(GTB)が進めるバイオ産業の加速(森下節夫)
JBAニュース
・BioJapan/ 再生医療 JAPAN/healthTECH JAPAN 2023報告
・第7回バイオインダストリー大賞、バイオインダストリー奨励賞表彰式・記念講演会を開催
新資源生物変換研究会
・微生物炭素固定代謝の多様性に基づく合成生物学(跡見晴幸・阪井康能)
Food Bio Plus 研究会
・プロテインクライシスに挑む未来タンパク資源の製造・加工技術の開発と新たな食システムの創成を目指して(長森英二)
ヘルスケア研究会
・講演会「共創の場 形成支援プログラム(COI-NEXT)が目指すヘルスケア」