2022 VOL.80 NO.4

巻頭言

・3つのコモングッドと健康食品産業の向かうべき方向性(橋本正史)

解説

・タンパク質の相分離を理解するためのアミノ酸間相互作用のスコア化(野本 晃・白木賢太郎)

要旨
タンパク質の溶解性やフォールディングは、アミノ酸の物理化学的な指標に基づいて考えることができる。本稿では、タンパク質の相分離を理解するために、多様な視点で指標化されたアミノ酸の性質について概説する。

・嫌気性アンモニア酸化「アナモックス」の基礎と排水処理への応用(平 大輔・武川将士・小野徳昭)

要旨
本稿では、窒素循環に関わる嫌気性アンモニア酸化「アナモックス」について、その反応機構、特有の金属タンパク質について紹介する。さらに、アナモックスの窒素除去プロセスへの応用に関して、現状と展望を概説する。

・ミオシンVIハプロ不全に起因する加齢性難聴(吉川欣亮・関 優太・安田俊平)

要旨
相同染色体上の1コピーの遺伝子が欠損し、発現量が半減することで加齢性難聴の原因となることが示唆されている。本稿では難聴原因遺伝子ミオシンVIハプロ不全が引き起こすマウス加齢性難聴の病態について解説する。

・ケミカルバイオロジーを基盤とした植物免疫システムの解明(石濱伸明・白須 賢)

要旨
筆者らは、ケミカルバイオロジーのアプローチにより植物免疫の制御機構の解明に取り組んできた。本稿では、植物免疫応答を撹乱する薬剤の作用機序と化合物プローブを用いたタンパク質のレドックス状態の解析について紹介する。

トピックス

・補酵素NADを基質とする新奇の二次代謝生合成酵素の発見(淡川孝義・阿部郁朗)

・アルギン酸分解における新しい酸化代謝経路の発見(井上 晶・西山竜士)

・微生物燃料電池による底泥からのリン溶出抑制技術の開発(竹村泰幸・窪田恵一・珠坪一晃)

・抗腫瘍活性化合物ランカサイジンの誘導体のin silico評価(西浦菜摘・荒川賢治)

・酒類中のカルバミン酸エチルを分解するアミダーゼ系酵素(正木和夫)

・溶血ペプチドと液滴を用いた抗体の細胞内送達技術(二木史朗)

・伸縮性電子材料を用いた皮膚密着型ウェアラブルデバイス(松久直司)

・微生物叢のメタゲノム解析に有用なアセンブルツール:MetaPlatanus(梶谷 嶺・伊藤武彦)

・がんの免疫逃避を打破する治療法の開発(大栗敬幸・小坂 朱・小林博也)

バイオの窓

・ニーズ発想 シーズ発想(近藤平人)

国際動向

「生物多様性条約ポスト2020生物多様性枠組 再開第3回公開作業部会」参加報告(野崎恵子・市原準二・小山直人)

産業と行政

健康で活力ある社会を作るための「健康のものさし」 ~JBAヘルスケア研究会での検討(松岡克典)

食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(佐々義子)

特集

未病社会とKISTECの機能性食品研究への挑戦(3)

・湘南ゴールドの品種開発とその評価(吉田 誠)

・食と未病評価研究における産官学の取組み(神奈川県)地域企業支援事例の紹介(廣川隆彦)

・神奈川県発のBhas42細胞形質転換試験法とトランスクリプトーム解析(大森清美)

・KISTECと東海大学の食と未病評価の臨床研究と産学公連携の取組み(苙口隆重)

第5回バイオインダストリー奨励賞受賞業績

・未培養微生物群集からの網羅的1細胞ゲノム解析法の開発(細川正人)

・遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法の開発およびその応用展開(藤田敏次)

・植物の器官再生の分子的理解とその応用展開(大谷美沙都)

・味覚受容を担う細胞分子メカニズムの解明(樽野陽幸)

JBAニュース

・宮田満のバイオ・アメイジング ~緊急対談:バイオのあの話題はこれからどうなる?!についてセミナー報告 ACT-X「環境とバイオテクノロジー」は地球環境の危機を救う!(千葉洋子)

バイオエンジニアリング研究会 小委員会活動準備イベント
・コロナ禍に終始、しかしそれに立ち向かった2021年度の活動報告

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